アンダーサイカ


長年の経験ってやつなんだろうか。

ヨシヤは流れる手つきで戸棚から黒い瓶を取り、用法用量の説明をしている。


私は興味深くなって、ついつい首を伸ばしてやり取りを眺めてしまった。

そのせいで、


「っ!!」


またオバケと目が合った。



目玉だけだからオバケがどんな表情をしてるのかは分からない。
その不可解さが怖い。けど、目が離せない。

どうしよう…。そう困っていると、



「ほら、何をポヤッとしてるんですか。
早く商品袋を持ってきてください。そこの台の裏です。」


ヨシヤが私にそう命じてきた。
やんわりと、しかし威圧的に。


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