アンダーサイカ
―――紫色…。
その瞳には見覚えがある。
ヒヨコオバケも、大蛇オバケも、そしてあの針のオバケもみんな、紫色の目をしてた。
きっとそれは“お客様”特有のものなのだ。…私はそう悟った。
―――つまりこの人も…。
「………お兄さんも、オキャクサマ…なんだね?」
オバケにはいろんな姿のものがいるんだ。
人型を見たのは初めてだけど。
私の問いに、お兄さんは再び顔を俯かせて、
「…概ね、その通りだ。
ただ、少しだけ違う。」
どこか嬉しそうに首を横に振った。
「吾は彼らと同じ存在だ。
だが立場はまるで違う。
彼らが囚人を統轄する役目を担っているとするならば、
吾は監獄全域を統轄する役目を担っていると言えよう。」
「…………?」
彼は例えを言ったらしいけど、私にはよく分からなかった。