アンダーサイカ
槐は片手で帽子を深く被り直す。
その際、紫色の瞳がしっかり私をとらえて、
「…豊花。君には、叶えたい願いがあるのだろう?
地獄へ引きずり込まれた兄と、
君の身代わりとなって消えた薬屋を救いたい。…そうだね?」
「………!!」
私の心を見透かしているかのような発言をした。
「…知っているとも。
アンダーサイカで起こったすべての事象を、吾は把握している。そして管理している。
針の鬼があの場に現れるよう仕向けたのも、
薬屋が持ち場を離れた際に鳴るはずだった警鐘を止めたのも、
…君の兄を地獄へ落とすよう命じたのも吾だ。彼は少々悪ふざけが過ぎたから…。」
「…っ、…それじゃあ…!!」
槐が“ああなるよう”仕向けなければ、稔兄ちゃんもヨシヤも消えなくて済んだってこと…?