アンダーサイカ


「っ………。」

でも、それで槐を責めるのはお門違いだと思った。



理由がどうあれ稔兄ちゃんは罪人なんだ。
今回じゃなくても、いつかは地獄へ連れ去られていたはず…。

起こるべくして起こったことなんだ。認めたくないけど…。


「……分かったよ。
あなたは自分のやらなきゃいけないことをしただけ…なんだよね。

私があなたに文句を言ったり恨んだりするのは間違いだってことも分かってる…。」


―――でも、



「…でも、お願い…!!
稔兄ちゃんと…ヨシヤを返して…っ!」


手と手をギュウッと握り締めて、私は懇願した。



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