アンダーサイカ
「…吾のすべてをあげよう。
この世界も、ルールも。
吾の代わりに、君に“アンダーサイカの意思”になってほしい。
…これが、大切な人達を救う条件だ。」
槐が手の甲を私の口元に差し出してくる。
舐めるよう促している。
滴る紫色の血は、きらきらして綺麗だった…。
「これを飲めば、ヨシヤは助かる…?」
槐は静かに頷く。
今の私には、その答えで充分だった。
―――あぁ、嬉しい……。
流れ出る紫色の血に口を近づけ、舐めた。
苦い味…。
やっぱり、ヨシヤのくれた薬と同じだ…。
「…ふふ…。
槐は、ヨシヤ…みたいだ…。」
嬉しさと淋しさが押し寄せて、私はついに我慢していた涙を零してしまった。