アンダーサイカ
オバケはやがて、両手をそっと伸ばして、大量の瓶を紙袋の中にドサッと落とした。
「あ。」
―――良かった、使ってくれるみたい。
姿は不気味だけど、特に文句も言わず素直に受け取ってくれたそのオバケに、ちょっと好感が持てた。
だからつい嬉しくなって、
「うふふ、気をつけてね。」
オバケに挨拶してみた。
まるで、拓くんや潤ちゃんに言うようなフレンドリーさで。
【…………。】
また、オバケに凝視された。
「………?」
けどそれも数秒間の出来事。
オバケは紙袋をしっかり持つと、小柄な体を翻して、用が無くなった店から出て行ってしまった。
「あっ………。」
何て声をかけるべきか迷って固まる私。
しかしとっさに、そんな私をフォローするようにヨシヤがオバケに呼びかけてくれた。
「ありがとうございました。
またのご来店をお待ちしています。」