アンダーサイカ


ヨシヤは笑顔で言った。



「さっきのお客様は、“感じの良い店員がいる良い店だ”と触れ回ると言っていました。
つまり、明日から更に来店なさるお客様が増えてしまいます。

僕がきみを食べるチャンスが減ってしまいました。
非常にまずいです。」


「えっ。」



この時、私は三つのことを考えた。


一つは、
さっきのオバケは特に何かを言ったようには見えなかったのに、どうしてこの人には分かるんだろうってこと。

二つは、
まだ私のこと食べようと思ってたのかってこと。
悪い冗談でもおふざけでもなかったみたいだ。


…最後に、


「え、でも明日からって……私帰るよ?おうち帰してよ。」


だってその話じゃ、まるで私が今後もここに居続けるみたいじゃない。

馬鹿な、馬鹿な。
私はすぐにでも帰りたいくらいなのに。


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