アンダーサイカ
じいっと下から見つめてやる。
ヨシヤは笑顔を引き攣らせていた。目が、私を憎々しく見下ろす。
「…ずっと思っていましたけど、きみは小賢しい子ですね。
ですが分かりました。いいでしょう。
きみを帰す代わりに、明日から僕に協力していただきます。
誓いの証としてこれを。」
「…?」
ヨシヤは白衣のポケットに手を入れ、紫色に光るものを取り出した。
つられて、そっちに目を向ける。
正体は、紫色の液体が入った、小さな小さな小瓶。
さっきのオバケに売ったうがい薬の瓶よりずっと小さな物。
「この薬を一滴舐めれば地上へ帰れます。
その代わり、僕と交わした約束は守っていただきますよ。
例えきみに何があっても。どんな事情があろうとも。」
私の目先に突き出された、不気味な紫色の薬。
これで家に帰れる。それは嬉しいのに、
胸に漠然とした不安があるのも確かで。