アンダーサイカ


――ジャー…

リビング前のキッチンから水音がする。お母さんが朝ご飯の準備をしてるんだ。



「…お母さん……?」


怒るかな。
あんな真夜中に家を抜けたんだから、きっとバレてるよね。


恐る恐る声をかけると、エプロン姿のお母さんがこっちに顔を向けた。



「…あら、おはよう豊花。
夏休みなのに早起きね。夕べはずいぶん早く寝たものね。」


「え?」



ニコッと笑うお母さん。

でもその台詞に、私は違和感を覚えた。
だって確か夕べは………、


「お母さん。
私昨日は、夜遅くまで一緒にテレビ観てたよね?
リビングで…。」


お母さんとお父さんと私の三人でテレビのロードショーを観てた。一昨年くらいに流行った映画がやってたんだ。


映画を観終わったのが夜の0時過ぎだ。全然早くない。

しかも私はそのあとこっそり出掛けたんだから。



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