アンダーサイカ
リビングの真ん中に置かれてる電話。その受話器を掴み、私はまず拓くんの家に電話をかけてみた。
――プルルル…
コールが長く鳴ったあと、ふと電話か繋がる音がした。
そして聞こえてきたのは、
《…ふぁい、もしもしぃ?》
「!」
―――拓くんの声だ…!
朝だからか、ちょっと気の抜けた眠そうな声。
拓くん、朝苦手だって言ってたっけ。今頃罪悪感が湧いてきたけど、それを謝る暇はない。
「拓くんっ、おはよう!
私!豊花!」
《あ~、おはよう。珍しいじゃん、こんな朝早くから。》
ふわぁっと欠伸が聞こえる。
いつもの拓くんだ。何も変わらない、いつもの。
―――…待って。いつもの?
「…ねえ拓くん、昨日あのあと、潤ちゃんと二人でどうやって帰ったの?」
変だ。だって私は、結局二人と離れ離れになったままだった。
それについて拓くんが何も言ってこないのはおかしい…。