アンダーサイカ
日曜日の朝とあって、まだ人通りは少ない。
家から旧斎珂駅を繋ぐ大通りを全力疾走しても、特に注目されなかった。
「はぁ、はぁ………。」
無人駅と化してからかれこれ5年。でも景観は昔のまま。
“斎珂駅”の看板も、取り外されず今も残っている。
…ただ、
「…やっぱり、閉まってる。」
入り口はすべて背の高いフェンスでぴったり塞がれ、入り込む隙間もなかった。
昨日は確かやや裏手の…フェンスの下のほうの僅かな隙間から入った。
また入れるかもしれないと思い、裏手に回り込んでみると、
「そっち緩いからな。しっかり止めろよ。」
「はーい。」
作業員数人がフェンスの隙間を針金やボルトで塞いでいる最中だった。