アンダーサイカ
「………。」
間違いないのに。
私たちは昨日、確かにここから入って、あの不気味な地下世界へ紛れ込んだ。
ヨシヤと交わした約束も、本当。
『また会えるのを楽しみにしています。』
「…これじゃ、もう会いに行けないよ。」
私にフェンスをこじ開けたりよじ登ったりする力はない。
こんな目の前まで来たのに、ヨシヤに会う方法が、ない。
「…………。」
嬉しい、はずなのに。
あんな気味の悪い場所に行かないで済む。それを喜ぶべきなのに、私は、
ヨシヤとの約束を守れないことに対して、申し訳なさを感じていた。