アンダーサイカ
一歩下がった時だ。
ドンッと、後ろにいた誰かにぶつかった。
「きゃっ…!」
「おっと、っと…。」
おじさんの声。
振り返ると、そこには紺色の制服と帽子を身につけた、恰幅のいいお巡りさんが立っていた。
そうだ、駅前には交番があったっけ。一度も利用したことはないけど。
「あぁ、びっくりさせてごめんよ。お嬢ちゃん迷子かな?」
「え?違う………。」
私自身は特に悪いことはしてないけど、お巡りさんを目の前にすると妙に身構えちゃうな。
「…えっと…、宿題!そう、学校の宿題で斎珂駅のこと調べに来たの。」
とっさに出た言い訳。
間違ってないぞ。調べたいのは斎珂駅の“地下街”のほうだけど。