アンダーサイカ
「そうか、宿題。偉いねぇ。」
お巡りさんは私の頭をぽんぽんと軽く叩いた。
良かった。信じたみたい。
「……でも、斎珂駅はやめといたほうがよかったな。」
「え?」
―――どういう…?
首を傾げて言葉の先を求める。
お巡りさんは斎珂駅の看板を見上げ、どこかつらそうに語り始めた。
「南岸線、斎珂駅。
おじさんが若い頃からこの駅はあってね。隣の駅との間隔が狭くて、別に歩いてもいいだろうに、皆は駅を利用したよ。
どこにでもありそうな小さな駅。
…だがある日を境に、斎珂駅は“ある事件”で有名になってしまった。」
「…事件って?」