アンダーサイカ
「…………。
ありがとうお巡りさん。
私、おうちに帰る。」
もうここにいても意味はないから。
お礼を言うと、お巡りさんは顔を綻ばせた。
どこか恐い印象があったから、その穏やかな顔はちょっと予想外だ。
「悪かったね、変な話をして。
一人で大丈夫かい?」
「うん、平気。さようなら。」
「はい、さようなら。」
パタパタと手を振って、私はお巡りさんと斎珂駅を背に歩きだす。
…正しくは、門前払いを食らって逃げ帰る。
―――また夜に来よう。
その時は、あのお巡りさんに見つからないといいけど。