アンダーサイカ
深夜1時ちょっと前。
アンダーサイカのことが気になりすぎて、ここまでの時間をどうやって過ごしたかよく覚えてない…。
お母さんとお父さんが寝静まったのを確認してから、私はこっそり家を抜け出し、斎珂駅へ向かった。
夏の夜は涼しくて助かった。
朝の薄着のまま出掛けてもあんまり寒くないから。
「…………真っ暗だ。」
駅はもちろん、周辺の店も交番も。
私以外に人の姿はなくて、まるでこの世でただ一人の生き残りになった気分。
フェンスはしっかりとすべての入り口を封じている。
地下街に入り込む手段は相変わらず皆無。
「…どうしよう。」
ヨシヤは待ってるかな。でも入ろうにも入れないし。
「………。」
しばらく周辺をうろついて、うろついて、うろついて……、
完全に手段を失った私は、
「……ヨシヤ、ごめん。」
そう、諦めてしまった。