アンダーサイカ
あからさまに嫌そうな顔をする私に対しても、ヨシヤはニコニコ笑顔だ。
さっき斎珂駅の入り口で私の名前を呼んだのも間違いなくこの不気味な人。
支度を済ませたのだから、私は次の作業に移る前にひとつだけ訊いておこうと思った。
「さっきどうして私、ここに入れたの?入り口はフェンスで塞がれてたよ?」
そうだ、私は、
―――ヨシヤの声を聞いただけで入って来れた…。
…でもその認識は少し違っていたみたい。ヨシヤは目だけを左上に向けてさっきの状況を思い起こす。
彼にとっては大したことじゃないらしい。
「あぁ、あれはね、
僕が“喚んだ”からです。
豊花ちゃんを。」