アンダーサイカ
そうか。だから私はあのフェンスを越えられたのか。
私が入ったんじゃない。
ヨシヤが私を呼び出したんだ。
「お客様方は賢く、警戒心が強い。決して自分の名前を明かしません。客が商人にへつらうなど有り得ませんよね。
でも地上人は僕達の持つ特権のことを知りませんから。
だからごく稀に迷い込む地上人をこうして支配して、奴隷として永久にこき使う商人もいるのですよ。」
奴隷という言葉がいまいちピンとこなかった。意味としては知ってるけど。
ヨシヤは私のことを奴隷としてこき使うわけじゃなさそう。あくまでこれは“協力”。手伝いだ。
でも、根本的なところは…
「…じゃあ私は、もうどこへ逃げても無駄ってこと…?」
「その通り。飲み込みが早いですね。」
…そんなアッサリと言わなくても。