ヤンデレパーティー
冬月と秋月は双子だ。体格でいえばまったく同じでも、体力や腕前では秋月の方が上。
妖怪退治屋の家系に産まれたものとして、早くに妖怪切りの刀を受け継いだ秋月は一族の誇りだ。
それに比べて……、と冬月はもうそのセリフを何度も飽きるほどに聞いてきた。周りからも、自身からも。
自身の不出来さに冬月は奥歯を噛むも、それでも自身より優れた兄を疎むことはなかった。
「大丈夫どすか、冬月」
「あ、うん」
足を止めて、わざわざ待ってくれる兄は優しかった。
一族の誇りの前に冬月の誇りであり、大好きな兄。
手を差しのべて自分を見てくれるその眼差しで陶酔してしまうほどに、冬月は兄を想っていた。