ヤンデレパーティー
風がざわめく。
生ぬるい、胃液みたいにじっとりと。肌にまとわりつき、青臭さに湿気が混じる。
鼻から肺まで一本の糸を垂らすようななめらかでしつこい空気。酸素が少ないのか咳き込みそうになるのを冬月は耐え、手にした札を落とさずしっかりと指で持つ。
退治する妖怪は化け猫と聞いていた。
二股の尻尾に二本足で立つ猫とはずいぶんとマイナーな妖怪であり、だからこそ、秋月たちだけでいいだろうと二人で退治に来たのだ。
刀を受け継いだとしても秋月は若い。経験が少ないと大物までは請け負えない。今回こそが経験の一つとしていい学習だと、秋月の目は稲光のように覇気ある眼差しとなっていた。