ヤンデレパーティー
ず……、ず……、ずず……。
近づいてくる音。
何かを引きずっているのか、ずいぶんと重たい音だった。
草ごと地面に溝を作るような、草を踏む足音と共に聞こえてくる言い知れない恐怖。
秋月にはもう目で捉えていた。
話し通りの猫。
小学生程度の身長しかない小さな猫が二足歩行でゆらゆらと、地に足がついていないかのように山を下ってきた。
キジトラの猫だが、やけに顔がむくれあがり、ボロボロな。一睡もしていなさそうな、瞬きさえも忘れた眼球が血走り、無機質に思えた。
まるで生気を感じられない。動く人形に相応しくも、化け猫が秋月たちを見るなりに持っていた包丁をあげたのだから、“戦う意思”は見受けられる。