ヤンデレパーティー
ケースⅣ カルツ
(一)
「ミナナー、いいもの持ってきたよー」
「だからって風呂場に入ってくるな!」
豪速球シャンプーボトルを彼に当てたあと、すりガラスの扉をぴしゃりと閉めたミナナはまったくと嘆息つきながら、またシャワーを再開する。
温めのお湯はボロアパート必須の条件にして、もう慣れた。
頭から被り、俯き加減で、髪先から滝のように流れるお湯を見た。
勢いがない水流でも浴室に響く水音は目立つ。
「ごめん、ミナナ。ついつい」
いっそ水音で掻き消されないかと思う声が聞こえたので、あえて無視を決め込もうとするも。