ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
 そんなの、イヤ!


 そう思うと同時に私は駆け出し、中野君の背中にしがみついていた。そして、


「イヤ。行かないで?」


 中野君の意外に広くて逞しい背中に顔を埋め、そうお願いをした。プライドは、今は余所に置いといて……


「おい、大塚……?」


「怒った?」


「ちょっとな」


「ごめんなさい。せっかく中野君がオッケーしてくれたのに、短気を起こしちゃって……」


「じゃあ、付き合うか?」


 その中野君の穏やかで、優しい言葉に、つい“うん”と言いそうになったけど……


「ううん、まだいい」


 と私は返事をした。


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