ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
 すると、中野君はクルリと振り向き、不思議そうな顔で、


「なんで?」


 と言った。


「私、中野君に好きになってもらってから、付き合いたいの」


 それが、当初からの私の企みだ。

 中野和也を私の虜にして、場合によっては彼の方から告白させるという……


 ところが、


「あ、そう。でも、それは無理なんじゃないかな」


 あっさり否定されてしまった。これにて交渉決裂……ってわけには行かないっしょ!


「あ、えっと……好きになってくれなくても、私に興味を持ってもらえれば、いいわ」


 うん。我ながら無難な妥協案だわ。


「それだったら……」


「ん?」


「いや、何でもない。頑張ってみれば?」


「うん。私、頑張る」


 中野君は今、何かを言いかけたと思うんだけど、何を言おうとしたのかなあ。


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