ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
顔と遺伝子と
「ただいま……」


 私は、家に帰ると自分の鍵でドアを開け、誰かいるのかいないのか分からないリビングに向かって声を掛け、階段へと向かった。


 このまま、お母さんに会わずに部屋へ行けたらいいなあと思いながら。


 ところが、


「待ちなさい!」


 どこから現れたのか、後ろからお母さんに腕を掴まれてしまった。


「き、着替えるから……」


 そう言ってお母さんの手を振りほどこうとしたのだけど、


「こっちを向いて、顔を見せなさい」


 お母さんは手に力を込め、強い調子でそう言った。


 諦めてゆっくり振り向くと、恐い顔をしたお母さんと目が合ってしまった。お母さんが少しやつれたように見えるのは、私の気のせいだろうか……


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