ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
 私は中野和也の前から逃げるように立ち去り、トイレに駆け込んだ。そして鏡の前に立ち、香水をつけた手首を水で洗い、やはり香水をつけた首筋に濡れた手をピタピタと当てた。


 鏡に映った私は、今にも泣き出しそうな情けない顔をしていた。こんな悔しい想いをしたのは、生まれて初めてではないだろうか。


 私をこんな目に合わすなんて、中野和也はなんてムカつく男なんだろう……



 教室に戻ると、私は中野和也を無視し、恵美に話し掛けた。


「恵美……」


「彩花、どうしたの? 何かあったの?」


 恵美は、すぐに私の様子が変だという事に気付いてくれたみたい。


「私って……臭い?」


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