ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
 その時、スッと音もなくちいちゃんは立ち上がり、


「席に戻るね?」


 と、一言だけ言って離れて行ってしまった。私達を見ずに。


 私は、そんなちいちゃんにただならないものを感じ、彼女を目で追った。


 ポカッと音がして、「痛え……」とかいう修平の声が聞こえたけど、そっちを構ってる場合ではない。


 ちいちゃんは、お弁当箱をバッグに仕舞い、席に座りかけたと思ったら、それを止めて小走りに歩きだし、教室を出て行ってしまった。


「なんかさ、俺だけ取り残された気がしたよ。俺もちいちゃんやおまえらを見習わないと……」


 みたいな話を修平がしてたけど、今はそれどころじゃないわ。


「私も行く。じゃあね」


 と二人に言い残し、急いでちいちゃんと同じくお弁当箱を仕舞うと、走って教室を飛び出した。

 もちろん、ちいちゃんを追うために。


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