ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
「シッ! 声大きい!」


 すかさず口に指を当ててそう言うと、


「ごめん」


 と恵美は肩をすくめて小声で言った。やれば出来るんじゃん……


「でも、マジなの?」


「マジよ」


「やめた方がいいと思うけどなあ。わざわざブスになるなんてさ……」


 意外にも恵美に反対されてしまった。ふざけるのが好きな恵美の事だから、てっきり私の計画をおもしろがると思ったんだけどなあ。


 もしかして私、とんでもない事をしようとしてる?

 単に中野和也好みのブスに変身しようと思っただけなんだけど……


 やっぱりやめようかなあと思っていたら、こっちを見る中野和也と目が合った。そしてその途端、中野和也はニタッと笑った。それが私には“どうせ出来っこない”と言われたような気がして、


「やめない。ブスになって、アイツを落としてやる」


 と言っていた。決意も新たに。


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