ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
 店員のおじさんは営業スマイルも忘れ、目を見開いて驚いた顔をした。


「は、はい、ございますよ? こちらの方になります……」


 おじさんに着いて行くと、壁に大きく“○○○○円均一”と書かれた紙が貼ってあり、そこにはシンプルな眼鏡が並んでいて、私が目指す黒縁の眼鏡もあった。値段も安く、手持ちのお金で十分に買える。


 ポケットから携帯を取り出し、データフォルダに保存した高木千尋を正面から撮った写メを見てみる。そして高木千尋がしているのとなるべく同じ眼鏡を探すと、なんとかそれらしい眼鏡が見つかった。


 その黒縁の眼鏡を手にしてホッとしていると、店員のおじさんが話し掛けて来た。


「あの……、どなたかの頼まれものですか?」


「はあ? 違いますよ。私が使うんです」


「それですと失礼ですが、お嬢様にお似合いにならないと……」


< 75 / 417 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop