ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
 高木千尋がしている眼鏡のレンズは、牛乳瓶の底みたいに分厚かった。

 これ、大事なポイントよね……。薄いレンズじゃ意味ないわ。あぶない、あぶない。


「分厚いレンズにしてちょうだい?」


「はあ?」


 店員のおじさんは“意味がわからない”と言いたげな不思議そうな顔をした。


「ほら、牛乳瓶の底みたいなレンズってあるでしょ? ああいうのにしてください」


「お客さま、それはきつい度が入っているからで、素通しではそうはならないんですよ?」


 なるほど、つまり高木千尋はかなり目が悪いって事ね……


「見た目だけでいいから、そういう風に加工出来ないの?」


「それはまあ、やってやれなくはないですが……」


「じゃあお願いします」


「はあ……」


 レンズの加工にどうしても数日掛かるという事で、今度の日曜日に受け取る事になり、私は眼鏡屋さんを後にした。

 その後は化粧品売り場へ行き、黒のアイブロウと“どどめ色”の口紅を買って帰った。


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