ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
「ね、寝坊しちゃった」


 私は前を向いたまま、そう返事をした。内心はドキドキで、今すぐ駆け出したいのをグッと堪えながら。


「あら、そう? じゃあ朝ご飯は……」


「ごめんなさい。時間がないから」


「仕方ないわね。行ってらっしゃい」


「行ってきます」


 ふうー。

 私はホッとしながら足早に玄関へ向かった。そして慌てて下駄箱から靴を出してそれを履こうとした時、いきなり玄関のドアがガバッと開いた。


「忘れ物しちゃったー!」


 そんな大声と共に私の目の前に現れたのは、息を切らした沙織だった。


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