ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
「あっ」


「え?」


 顔を見合わせ、動きが止まった私と沙織。一瞬の沈黙の後、


「誰……?」


 と沙織が驚いた顔で言い、慌てて私は手で顔を隠した。


「ひょっとして……お姉ちゃん?」


 あちゃー。沙織に見られちゃった……
 ま、仕方ないか。どうせいつかは見られるんだし。


 私はそう開き直り、急いで靴を履いた。


「どいて」


 私の前で、突っ立ったままの沙織に、落ち着いた声でそう言ったのだけど、


「なんでそんな顔してんの?」


 と沙織は言い、どいてくれなかった。そして、


「沙織、忘れ物なの?」


 という声がして、お母さんが背後から近付いて来る気配がした。


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