密なカラダにくちづけて。
「…そうだね。常識を考えれば 自分の兄貴の嫁と
恋に堕ちるなんて、道徳に背く行為だよね。」


英介君が私の頬に触れる。


それを振り払えないのは 英介君の冷たくて、淋しそうな目を逸らせなかったせい。


「だから、俺と…」


英介君が私にもたれる様に 私の耳元に唇を近付けて


「背徳のスリルを味わおう?」

甘い、囁きに聞こえたその言葉。


そのまま、英介君の唇が私の首筋をなぞった。



――…お風呂場から、子供達の笑い声が聞こえる。


まだ、上がっては来ないで。


こんな所を見られるわけにはいかない。

ううん、上がってくるのなら
英介君だって、私から離れるのはわかっている。
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