密なカラダにくちづけて。
「じゃあ、行って来るね。今日こそは、早く帰って来るから。」

玄関で、靴を履き終えた啓介が私の頭を撫でた。

「うん。いってらっしゃい。」

「行って来ます。」

パタンとドアが閉まる。

「はぁ…」

私の口からは、ため息が漏れる。

寝室の私のタンスの奥に隠している私の手帳を引っ張り出す。
啓介には、見られない様に私の想いを書き留める日記みたいな手帳。開くと昨日、英介君に渡された紙切れ。

英介君への連絡先。

こんなの貰ったって、連絡して何を言うの? 何を聞くの?
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