密なカラダにくちづけて。
最近、お気に入りの歌を口ずさみながら歩く。 気分が少し乗って来た。 このまま、あのキスの余韻もなくなる…

そう、思っていたのに…。

「はるかちゃん。」

会いたくない人の声が私を呼ぶ。 恐る恐る、振り返ると
英介君がいた。

「英介君…仕事は…?」

「今日は、休み。昨日、はるかちゃんの家に忘れ物しちゃって、今取りに行こうと思っている所。はるかちゃんはこれから出掛けるの?」

「うん…」

「そっか…。でも、大事な物だから悪いんだけど一緒に戻ってくれないかな?」

「大事な物って何? 何も、無かったけど…」
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