あの頃、テレフォンボックスで
「もうね、最悪だったんだから。」

自分が怒られてる話から離れようとして
未来が切り出す。


「何が?」

「何がって・・・・貝塚さんよ。」


「貝塚さんが、どうかした?」


あの、鋭い貝塚さんのこと、
私を追いかけるケイタを見かけて・・・・

また、なにか言ってたのかしら?


「貝塚さん・・・・
キャンプファイヤーのときに
告ったんだよ、ケイタさんに。」


「え?そうなの?」


「うん。
キャンプファイヤーのときに
告って付き合うと、
二人は別れないって話があるらしい。」


「へ~、貝塚さんって
そういうの信じる人には見えないのにね。」


「あー見えて、けっこう少女なのよ、あのコ。」


「・・・・・・で、


どう、だった、の?」



ああ、でも言わないで。
ケイタがなんと答えたのか、
聞きたくない。


それよりも
そのときの、
貝塚さんと向かい合ったケイタの姿。


想像するだけで
胸が痛い。


キャンプファイヤーの炎に照らされて
ケイタの目を見上げる。


・・・・・私には永遠にできないことね。



あたり前のことが
悲しい。
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