あの頃、テレフォンボックスで
コーヒーショップで
朝から晴れ間の広がる
気持ちのいい日だった。

起きがけは気だるくて
いつもなら、
しばらく動けない状態の瞳子でも
今日は家事をする手がはかどる。

未来を送り出し、
今日一日の予定を立てる。


先週、予約を入れておいた
ネイルサロンに10時。
そのあと、一人でランチをして、
本屋に寄って帰ろうか。


私の足の爪がオレンジや青に彩られ
キラキラ光る装飾をほどこしたとして

一体、誰が興味を持つというのだろう?




ペディキュアを塗ってもらっている間
ゆったりとした
リラクシングチェアに座っていたけど、
長時間だったから、
疲れてご飯を食べる気になれない。



駅前のカフェで
とりあえず飲むカフェマキアート。



サンダルの足元を見て
一人ほほえむ。



夏仕様に塗られたこの足先だけが
私とは違う人格を持って


人恋しそうに
輝いている。








< 11 / 201 >

この作品をシェア

pagetop