あの頃、テレフォンボックスで
「俺だって、どうしていいかわからないよ。
なんで、今、17なんだろ?

トーコさんが俺たちが
一緒にいるべきじゃないって
感じたように、

俺だって、時間をさかのぼって
高校生だったトーコさんのところへ
行きたい、と何度思ったことか。


どうして、こんなに遅れて
生まれてきちゃったんだろ、って。


もっと昔に生まれてても、
やっぱり、俺たち出会ってたのかな?」



・・・・・泣いちゃいけない・・・・




涙をこぼさないように、
空を見上げる。



この広い地球で
私たちを悩ませる10年・・・20年・・・
そんなちっぽけなできごと。



金色のピアス。
そんなささいなできごと。



生きてる時間はほんの一瞬なのに
小さなできごとの
ひとつひとつが
記憶の底に張り付いていく。


私たち、
なんで生きてるのかな。


私たち、
どうして出会ったのかな。





ふと横を向くと
公園の片隅に古いテレフォンボックスがあった。



木々や雑草の陰になって
わかりにくい場所に。


忘れ去られたような
過去の遺物のように。


 






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