あの頃、テレフォンボックスで
「あんなところに
電話ボックスが・・・。」


「あ?
全然気付かなかった。
っていうか、誰か使う人っているのかな?
今どき。」



テレフォンボックスには
悲しい思い出ばかり。



高3の冬。
森川くん・・・・


優しい人だったのに、
楽しい人だったのに、
今まで生きてきた自分の周りのものを
崩すのが怖くて
結局は傷つけてしまった。


何度もデートをして、
他愛のない話をするのが楽しくて、
そう、今の未来たちのように・・・

私の中では
特別に輝いている素敵な思い出なのに、
森川くんのことを考えると
後悔したことばかり思い出す。



「電話ボックス見ると
泣けてくるわ。」


今、泣きたい気持ちを
それのせいにする。



「ふーん、なんで?
どんな思い出?」



そのとき、
どうでもいい、昔の話をしてしまったのは
ケイタに別れを切り出しづらかったせい。





< 119 / 201 >

この作品をシェア

pagetop