あの頃、テレフォンボックスで
「それからも、今までどおりに
会って、話したり
遊びに行ったりしてたんだけど、


なんだかやっぱり
今までとは、違うのよね。


ちょうどクリスマス前で、
みんな・・・周りの友達が
クリスマスどうする?
なんて話をしてた頃に、

森川くんからその日の予定を
相談されるのが怖くて、
なんとなく避けつづけてたら


ある日、

電話がかかってきて

『俺、もう限界だから』って。
『こんなに好きでこんなに会いたいのに
どうして瞳子ちゃんは
わかってくれないのか、
どうして瞳子ちゃんは同じように
思ってくれないのか。』



もう、いい、って言われたのよね。


私も好きだったし、会いたかったのに・・・
その先になにがあるのか
見るのが怖かった。



電話を切ったあと、
家から飛び出して
ルイーズに向かったの。


店の中に入って、
そこにある古い木製の
テレフォンボックスの中を見たら、


ピンクの電話の上に積み上げられた
10円玉と
森川くんが吸ってた
たばこの箱が置いたままになってて・・・



森川くんはもう店にはいなくて・・・」




もう何年も、
そう20年近く前の話なのに、


涙が溢れてきた。




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