あの頃、テレフォンボックスで
志穂は、
大人になってしまったのだ。

自分の気持ちに正直に、だとか
自分が何をしたいのかよく考えて、とか。


そう言ってくれた
あの頃の志穂は、もうここにはいない。


志穂は・・・
やりたいことを全部やって、
そして母になった。


私は?


自分の気持ちに正直に生きてみようと
やっと思えたところなのに。


志穂なら、
あの頃の志穂だったら

もしかしたら応援してくれるかもしれない。


少しだけ期待していたのに。



今の私には
他には何もいらない。

ケイタがいてくれれば。

ケイタだけが
私のことをわかってくれていれば
それでいい。







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