あの頃、テレフォンボックスで
インディアンサマー
会いたい気持ちというものは
自分ではどうしようもない。

何をしていても
彼のことを考える。
今ごろどこにいるのか、
何をしているのか、気になる。


メールなんかがきたら
なおさら、だ。

メールを打つ間に
電話で話す時間に、

私のところまで
会いに来て。



言葉には出せないそんな想いが
心の中に溜まっていく。



いつもなら、
三回に一回くらいしか話に乗らない
ケイタからのデートの誘い。


今日のメールには二つ返事で
OKする。


「場所はどこがいい?
もう冬だから・・・
植物園なんか、人が少なくて
いいんじゃないかしら?」


ケイタと出かける先を
選ぶときの第一条件は、
人が少ないこと。


もうそれが当り前のように
二人の間で前提となっている。


言わなくてもわかってる約束事のせいで、
やましさも、うしろめたさも
表には顔を出さずに・・・・


そういう風にして二人で会うことに、
もう慣れてしまった。








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