あの頃、テレフォンボックスで
トーコさんもそういう風に
考え込んでみたり
するんじゃないかって。」



私は寝転がっているケイタの
額にかかる髪に手を触れてみた。


ケイタが私の手首を掴む。



もう一度
反対の手で、


ケイタの額を撫でる。



「今日は、

あなたが泣いてる気がする。」





口元だけ笑いながら
向こう側の親子の姿を目で追うケイタは


そのとき確かに
泣いていたんだと思う。




私たちは前世では一つだったのよ。
きっと。


何かのまちがいで
二つにわかれて、



こんなに離れて
生まれてきてしまった・・・・・



言葉には出さない。


出さないけれど、ケイタもそう考えてるのが
私にはわかる。






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