あの頃、テレフォンボックスで
「トーコさん・・・

泣いてるっ?」


   いいえ、まさか。


「なんだか泣いてるみたいに見えたから。

それよりさぁ、足、

海みたいな深い青・・・・」




ケイタくんのひとこと、ひとことが
私のなにかに突き刺さる。


心のはしっこをキュッと
ひっぱられるような

不思議な感覚。


まるで、20年前に戻ったような

自分も
高校生になったような

錯覚にとらわれる。




「ね、トーコさん時間あるんなら・・・・・


海、見に行こうよ。」



「え?今から?」

「そう、今から。」



「二人で?」

「二人で。」




突然のケイタくんの提案に
とまどいながら、

駅のホームに立っていた。



足元を見ると、

青い爪が

日差しを浴びて

一層キラキラと輝いている。










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