あの頃、テレフォンボックスで
電話を切ってからも
私はなにをするでもなく、
ただぼんやりとして
ソファに座りつづけていた。


今どうしたいのか、とか
これからどうするのか、とか
そんなことよりも

ケイタにまつわる全てを
ひとつひとつ
思い出していた。


出会った日から今日までのこと。


ケイタの目、
指の形、
笑ったときの顔。


温かい腕、
頬が近づいてくるときの
ケイタの匂い。



そうしているだけで
大きなものに包まれてる感覚になって
私の心は満たされていく。


やっぱり、
ケイタに会いたい。



ふと時計を見ると
11時を過ぎている。


未来は
まだ帰ってこない。


慌てて、未来の携帯に電話をするけれど
留守番電話になっていて、繋がらない。

何度メールをしてみても、
返信がこない。



おかしい。
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