あの頃、テレフォンボックスで
「ケイタ?
未来が・・・未来が帰ってこなくて。」


「え?こんな時間なのに?
電話は?
・・・・・そう・・・・・
俺、すぐ行くから。」



ケイタが来るという。
駄目よ、こんな時間に。
頭ではわかっていても、
不安で一人ではいられない。


ケイタ、お願い・・・
早く来て。



亜紀ちゃん以外に電話するあてもなく、
未来の行き先は検討もつかなかった。


この半年・・・・・
そう、未来が高校に入ってから
いいえ、
ケイタと出会ってからの7か月、
私は自分以外のことに
無関心すぎたのだ。


未来・・・・・




しばらくしてチャイムが鳴った。


インターホンにケイタの姿がうつっている。

急いで玄関のドアを開けて
ケイタを招き入れる。



「ケイタ・・・・どうしよう・・・・」




ケイタは私を抱きしめた。
それからすぐに
ゆっくりと体を離して、


「大丈夫、捜そう。」


と言った。




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