あの頃、テレフォンボックスで
「亜紀ちゃんが知らないとなると・・・・
テニス部の子なら知ってるかな?

俺、テニス部ってあんまり知ってる子いないし。
貝塚なら、テニス部に知り合いがいるかもな。」


貝塚さんに電話をしかけたケイタの手を止める。



「貝塚さんは・・・・駄目・・・・」


こんな時間にどうしてケイタが
帰ってこない未来のことを
捜しているのか、と聞かれたら
私には答えられない。


貝塚さんは、
何かを感じているに違いない。


それは、
女・・・・だから。



「ああ、どうしよう・・・・」



私を落ち着けようとして
ケイタが肩を抱いてくれる。


「大丈夫」


ケイタが大丈夫だというなら
大丈夫なんだという気がしてくる。



「そうだ、長井に電話してみよう。」



ケイタの思ったとおり
長井くんには
心当たりがあった。
 

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