あの頃、テレフォンボックスで
もうすぐクリスマスだ。
テレビの番組も新聞の広告も、
クリスマスのことばかり。


近所に買物に出かけても
あちこちにクリスマスツリーが
飾られている。



この時期になると・・・・
気持ちがふさぐ。




「ママ、クリスマスは
亜紀ちゃんや貝塚さんたちと
夜通し遊んで過ごしたいの、いいでしょ?
怪しいお店とか危ないところとかには
ゼッタイ行かないから。

心配なら・・・10分ごとに
携帯に電話してくれてもいいから。」


未来は調子のいいことを言ってるけど
クリスマスは
長井くんと過ごすつもりなのだろう。


亜紀ちゃんや貝塚さんと
口裏を合わせているに
違いない。


わかっているけれど、
知らないふりをしておく。


何もせずに傷つくよりは
自分で決めたことを
自分で決めたようにして・・・
傷つくならば
その方がいい。



形のない後悔よりも・・・

形のある後悔のほうが痛みの
程度もわかる。



どれくらい痛いのかさえ
わからないとなると、
いつまでも引きずってしまう。


未来の恋が
たとえ、この先ずっと
続くものではないとしても
今、
一生懸命、人を好きになっていることを


いつまでも
忘れないように・・・・・



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