あの頃、テレフォンボックスで
よほどおなかをすかせていたらしく、
ケイタは無言で
ミックスサンドを食べていた。


その髪を撫でたい。
彼の頬を・・・私の両手で包みたい。



「24日・・・・
俺、神戸のホテルとったから。

その日は
トーコさんとふたりで過ごしたい。


6時にこのビルの地下駐車場で
待ってるから。」


それだけ言うとケイタは
出て行こうとして立ち上がった。



私は慌ててケイタの手首を掴んだ。


「無理よ・・・・」


「無理なのはわかってる。
だけど、
この日だけは、一緒にいたいんだ。
一緒にいてくれるだけでいいから。


もうこれ以上・・・・
無理は言わないから。」




ケイタもまた、感じているのだ。


私たちには、

今しかないということを。
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