あの頃、テレフォンボックスで
お昼前に郵便局のバイクが止まって
インターホンが鳴った。

分厚い速達の配達記録郵便を受け取る。

夫宛てだ。



差出人は大阪にある
知らない会社の名前だった。


・・・・・大事な書類みたいね。
速達になってるから、
夫に知らせておいた方がいいかしら?



今しがた受け取った郵便物を片手に
夫の携帯に電話をかけてみる。


留守番電話だ。




しばらくして、またかけてみる。




「もしもし?」


「・・・・・ウェイ?・・・・・」


「もしもし・・・・?
佐山・・・・佐山崇史の電話・・・ですか?」



「・・・・・・・・」



「さ、やまさんは・・・
いま、かいぎちゅうで
でんわにでられません・・・・」



プツリ。




片言の日本語で、
女の人がそう答えた。


そして、こちらの返事も聞かないで
電話を切った。


今のは、
現地の秘書かしら?



私は意味もなく、時計を見つめていた。


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